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「もしも」の備えを暮らしの中に
フェーズフリーとは?
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。近年人々の防災意識は高まる傾向にありますが、その後も度重なる災害に見舞われる中で悲劇が繰り返されています。そうした背景を経て、2014年頃から“備えない防災”として提唱されている「フェーズフリー」という言葉を聞いたことはありますか?
ひとつの新たな考え方を知ることで、暮らしをより安全に豊かに守っていくヒントが得られるかも知れません。
フェーズフリーとは
身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立つようにデザインしようという考え方を「フェーズフリー」といいます。(一般社団法人フェーズフリー協会HPより引用)
従来の防災用品やシェルターなどは、普段は使わずに災害時にだけ役に立つというものがほとんどでした。一方、フェーズフリーの製品や施設はいつもの生活の中で活用しながら非常時にも役立つというのが最大の特徴です。

フェーズフリー品を知ろう
フェーズフリーの考え方に基づいて日常時・非常時の価値を共に有していることを認証する制度がつくられ、フェーズフリー認証商品の実例をフェーズフリー協会のウェブサイトで確認することができます。(product/https://cf.phasefree.net/product/)
文房具から食品、衣服や住宅、トイレや雨水活用システム、公園など…そのジャンルや用途は幅広く、日常生活で年齢・性別を問わず感覚的に使用できるものが多いため、冷静に対応することが難しい災害時に特別な知識がなくても使うことができるというのも重要なポイントです。

日本から世界に広げるフェーズフリー
災害が起きたときに用途が限定されるケースの多い防災用品は、海外での需要が日本に比べて少ないとされています。そうした中でも、日常でも活用できるフェーズフリー品への注目度が徐々に高まっており、日本の大手メーカーをはじめ様々な企業もフェーズフリーをコンセプトに掲げた商品・サービスの展開をおこなっています。
予期できない災害の怖さを知る日本だからこそ、その高い技術力を活かしてフェーズフリーの概念を世界に発信することで防災に対する新たな価値観を広げていくことが期待できます。

「暮らし」そのものが防災に
災害大国である日本では今後もフェーズフリーの認知度が高まり、製品やサービス、まちづくりにおけるコンセプトの一つとして取り入れられていくことが期待されています。日常生活の中で何気なく使っているものが実はフェーズフリーになっていた、という未来も遠くはないのかも知れません。
同時に、非常時のために備蓄・保管しておく必要のあるものも決してゼロではありません。水や食料、衛生品などは日頃から消費期限を確認し、避難経路や緊急連絡先の共有などの準備をしておきましょう。
