日本管材センター株式会社

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No.94

雨の匂いはどこからくるの?

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。




夏の終わり頃からはゲリラ豪雨や台風など、突然の雨に見舞われることが多くなりますね。
雨の日に外を歩いていると漂う独特の匂い、皆さんは感じたことがありますか?
降水量が世界平均の約2倍にもなる日本では、馴染みのある匂いのひとつかも知れません。
「雨の匂い」と言っても、雨水自体に匂いはありません。では一体どこからやってくる匂いなのか、その正体を紐解きます。

雨の匂い「ペトリコール」

空気が湿り気を帯びて雨が降りそうなとき、また実際に雨が降り始めると、どこか懐かしい匂いがします。この匂いには、「ペトリコール」という名前がついています。
「ペトリコール(Petrichor)」はギリシャ語で石を意味する「ペトラ」と神話で神々の血管の中を流れていたとされる「イコル」に由来しており、“石のエッセンス”とも訳されます。この言葉は1960年代にオーストラリアの鉱物学者らによる論文で定義され、「長い日照りが続いた後、最初に雨が降ったときに漂う良い香り」として使用されたそうです。

地面に雨が当たることによって、空気中に広がる様々な有機成分の匂いが、雨の匂い(=ペトリコール)として認識されています。



ペトリコールは何でできている?

暖かく地面が乾いた日が続くと、植物は自分の種子を守るために油脂を放出します。この油脂は土壌の岩石やアスファルトなどに染み込んで蓄積されていきます。晴れているときは匂いを発しませんが、土や岩石の表面に雨が当たると蓄積された油脂の匂いが空気中に発散されます。
また、土の中に住むバクテリアが繁殖する際に出る物質「ゲオスミン」もペトリコールの要素のひとつです。ゲオスミンはギリシャ語で「大地の匂い」という意味があり、主に雨上がりに水分が蒸発することで強く感じられます。
これらと空気中を漂うカビや排ガスなどを含む埃が水と混ざり、地熱によって匂いの成分が気体となったものが、ペトリコールの正体です。



匂いを運ぶエアロゾル


雨が降り始めると、雨粒が地面に当たって細かい粒子を含んだ気泡「エアロゾル」が空気中に放出されます。先ほど述べた匂い成分がエアロゾルに取り込まれて空気中に巻き上げられることで、私たちは匂いを感じます。
まだ雨が降っていない場所で雨の匂いを感じることがあるのは、雨が降っている別の場所で発生したエアロゾルが風などによって流されてきたことが一因とされています。エアロゾルが放出されやすいのは土砂降りよりも軽めの雨のときなので、少し離れたエリアの小雨によって発せられたペトリコールを嗅いだことで「雨が降りそう」と予感するというわけですね。



雨の日も、悪くない

台風などの災害級の大雨が私たちの生活に大きな被害をもたらすことは事実であり、「雨=天気が悪い」と無意識に表現してしまいがちです。しかし、本来ペトリコールは自然の草木や大地の恵みに由来しており、喜ばしいことの兆しとされています。雨の匂いを感じたら、そんなことを思い出してみてください。