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レジオネラ症を予防しよう
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
温浴施設やプールから基準値以上のレジオネラ属菌が検出された、というニュースを見聞きしたことはありませんか?
レジオネラ属菌が多いとどのような問題があるのでしょうか。
今回はレジオネラ属菌が引き起こすレジオネラ症についてご紹介します。
レジオネラ属菌とは
レジオネラ属菌は、自然界の淡水(河川、湖水、温泉等)や湿った土壌等に生息する細菌で、50種類以上の菌種があります。
レジオネラ属菌は自然界ではそれほど増えませんが、水やお湯が滞留したり循環したりする人工的な環境、例えば給水・給湯設備、冷却塔、循環式浴槽、加湿器などで増殖が進み、急激に菌数が増えることがあります。一般的に20~50℃で繁殖し、特に36℃前後が最も増殖に適した温度と言われています。

レジオネラ症とは
レジオネラ属菌が原因で引き起こされる感染症を「レジオネラ症」といいます。
主にレジオネラ属菌が含まれたエアロゾル(細かい霧やしぶき)を吸入することで感染します。人から人へは感染しません。
家庭内ではお風呂の残り湯や追い炊き配管、シャワーなどのお湯が溜まる箇所、または加湿器のタンク内などでレジオネラ属菌が増殖し、その水しぶきを吸い込むことでレジオネラ症に感染するおそれがあります。

レジオネラ症の病型は、重症の肺炎を引き起こす【レジオネラ肺炎】と一過性で自然治癒する【ポンティアック熱】の二つに分けられます。
【レジオネラ肺炎】
主な症状:全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛、咳、高熱、寒気、胸痛、呼吸困難など
潜伏期間:2~10日
特徴:急激に重症化し、命にかかわることもある

【ポンティアック熱】
主な症状:突然の発熱、悪寒、筋肉痛など
潜伏期間:1~2日
特徴:軽症で、数日で治ることが多い

レジオネラ症を予防するには?
レジオネラ症を予防するために、家庭でできる対策をご紹介します。
【浴槽】
毎日清掃し、お湯を入れ替えている場合は基本的に問題ありません。
追い炊き機能付き浴槽の場合、何日もお湯を抜かずに繰り返し追い炊きを行っていると、同じお湯が配管内を循環・停滞することになり、レジオネラ属菌が増殖するリスクが高くなります。浴槽内のお湯は毎日捨てて、スポンジや洗剤を使って浴槽内部やお湯の吐出口を清掃しましょう。また、追い炊き配管は定期的に配管洗浄剤等を使用し、汚れを排出しましょう。
※連日使用型循環浴槽(いわゆる24時間風呂)は特にレジオネラ属菌増殖の危険性が高いので、取扱説明書等に従い管理してください。
【シャワー】
シャワーは使用時に大量のエアロゾルが発生するため、レジオネラ属菌が増殖していた場合は感染の危険性が非常に高くなります。少なくとも週に 1 回、内部の水が入れ替わるように通水しましょう。また、定期的にシャワーヘッドの表面をブラシなどで清掃し、部品を取り外せる場合は消毒薬に浸け置きするなどして、シャワーヘッドやホース内部の汚れも取り除きましょう。
【加湿器】
加湿器に使用する水は塩素の含まれた水道水が適しています。(詳細は2022年2月の豆知識「乾燥対策の定番!加湿器使用に関する注意!」をご覧ください。)
水をつぎ足しながら使用を続けることはせず、毎日タンク内の水を入れ替えてください。汚れやぬめりが生じないよう水を入れ替えるたびにタンク内を洗浄し、長期間使用しない場合は水を抜き、よく乾燥させましょう。
レジオネラ症は現時点では予防できるワクチンがないため、高齢者や新生児及び免疫機能が低下する疾患を持つ方にとっては注意が必要です。家庭内でレジオネラ属菌を増殖させないように、お風呂周りや加湿器は衛生的に使用しましょう。