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建築用語由来の言葉2
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
2020年5月の豆知識でもご紹介した「建築用語由来の言葉」
前回は「いの一番」「たたき上げ」「釘を刺す」「うだつが上がらない」の4つをご紹介させていただきましたが、建築用語が語源となっている言葉はまだまだたくさんあります。それでは今回も新たに4つご紹介していきます。
【几帳面】
意味:真面目、きちんとしたさま、規則正しい、正確な
「几帳」とは平安時代に使われた貴人の座るそばに立てる間仕切り用の布製の屏風のことを指します。
几帳の柱の表面を削り、角を丸くし、両側に細工として刻み目を入れたものを「几帳面」と呼びました。几帳面な装飾がされており、職人がきちんと正確に作業をしなければ美しく仕上がりません。これが転じて、物事をきちんと行う人や真面目な人を表すときに「几帳面」という言葉が使われるようになりました。
【建前】
意味:表立った指針、表向きの考え
日本人は本音と建前を使い分ける、などとよく言われますが、この「建前」も建築用語が由来となっています。建物を建てるときに主要な柱や梁などを組み上げる上棟式のことを「建前」とも呼びます。建前の儀式が済めばどのような家が建つのかが大体わかるため、基本方針や表向きの方針を指す言葉に転じたといわれています。
【束の間】
意味:ほんの少しの時間、あっという間
束は建築用語で「短い柱」を意味します。床を支えるための束柱や屋根を支えるための小屋束、鴨居を吊支えるための吊り束などがあります。束とは元々長さを表す言葉で一束は指4本分の幅を意味します。つまり、幅の短さを時間に例えて「束の間」という言葉が使われるようになりました。
【子はかすがい】
意味:子供への愛情から夫婦の仲がなごやかになり、縁がつなぎ保たれることのたとえ。
かすがいとは、ホッチキスの芯のように「コ」の字の形をした大きな釘のことで、2本の木材に打ち込んでつなぎ合わせたり、補強したりする金具です。二つのものをしっかりとつなぎとめる役割があることから、夫婦仲を和ませ縁を繋ぎとめる意味として、この言葉が使われるようになりました。
生活に密接する住居に関する建築用語からは様々な言葉やことわざ、慣用句が生まれています。他にも建築用語が語源となった言葉を見つけたら、またご紹介させていただきます。