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先人たちに学ぶ、暑さ対策!
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
いよいよ暑さも本格的になり、エアコンが欠かせない毎日です。江戸時代の夏の平均気温は今より2~3度低かったと言われています。エアコンがまだ無かった時代に人々はどのように暑さをしのいでいたのでしょうか?今回の豆知識では、江戸時代の暑さ対策・夏の過ごし方をご紹介します。
①「甘酒」が夏の定番?!
寒い時期に飲みたくなる甘酒ですが、江戸時代では夏に飲むのが定番!暑くなってくると町には多くの甘酒売りが現れました。「飲む点滴」と言われている甘酒ですが、昔から夏バテ防止や疲労回復効果がある飲料として飲まれてきました。俳句界でも「甘酒」は夏の季語として使われているんですよ!
他にも「冷水売り(ひやみずうり)」と言って、湧き水などに砂糖を入れて白玉を浮かべたものが売られていたそうです。ところてんやそうめんもよく食べられていました。
②夏祭りで見かける、あの赤いお魚
現代の夏祭りでもよく見かける「金魚すくい」ですが、江戸時代でも夏になると金魚売りが町に出てきて、人々は金魚を鑑賞用として楽しんでいました。室町時代に中国から来た金魚は、江戸時代初期にはぜいたく品とされていましたが、中期になると庶民でも飼うことができるようになります。「金魚玉」と呼ばれるガラス製の容器に金魚を入れ、軒下などに吊るして涼を楽しんでいたそうです。
他にもホタルや風鈴の音など、「見て・聞いて」涼しさを感じられるものが、暑さを和らげる1つの方法になっていました。
③現代でも大活躍!団扇(うちわ)の出現!
貴族の装飾や儀式、将軍の軍配などに使われていた団扇は、江戸時代に入ると送風の道具へと変わり庶民にも浸透していきました。涼しむためだけでなく、火をおこすため・虫を捕まえるためなど日常生活でも幅広く使われていたそうです。
江戸時代末期には、「手回し団扇」といって筒に6枚の団扇を付けて手動で風を送る道具が誕生したようですが、あまり普及はしなかったようです。
④打ち水の効果
夕方になり仕事を終えると人々は打ち水をして暑さをしのぎました。打ち水は水が蒸発する際、気化熱により表面の熱を奪うため涼しく感じることができます。現代のアスファルトだらけの道と違い、昔は地面が土だったため、湿気を保ち地中にある水分を引き出す打ち水は、より効果があったそうです。
ちなみに打ち水をする場合は、必ず夕方の日が暮れた時間に行いましょう。日中の焼けたアスファルトへの打ち水は、すぐに蒸発してかえって暑く感じてしまいます。
⑤暑い時間には外に出ない!
日中は用事や仕事がない限り外に出ず、なるべく直射日光を避けて日陰のある場所で過ごしていたそう。仕事も昼間の休憩時間を長めにとって、一番暑い時間帯に働かないようにしていました。「暑い時間に活動しない!」シンプルですが、一番簡単な暑さ対策ですね。
現代の暑さ対策のルーツになっているものもあれば、取り入れていきたい考え方もありました。昔の人々も知恵を絞り、工夫しながら暑い夏を乗り越えていたのですね。