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墜落・転落を防ぐ! フルハーネス型墜落制止用器具着用義務化のポイント!
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
建設業界において、未だに多いのが高所作業時の墜落・転落による事故です。
厚生労働省発表の労働災害発生状況によると、建設業における死亡災害の原因のおよそ4割、また、死傷災害の原因においても3割以上を墜落・転落が占めています。
墜落・転落事故を減らすために、2019年2月1日、厚生労働省は高所作業の安全帯に関する着用条件を改定した法改正を施行、同時に安全帯の規格を改正した「墜落制止用器具の規格」も定められました。
法改正のポイント
法改正のポイントは大きく分けて3つです。
①名称の変更
安全帯の名称は「墜落制止用器具」に変更されました。

出典:厚生労働省 資料「安全帯が墜落制止用器具に変わります!(2019年1月)」
㊟胴ベルト型(一本つり)は一定条件下で使用可能です。後述の【②原則「フルハーネス型」を使用】部分をご確認ください。
墜落制止用器具に認められるのは、胴ベルト型(一本つり)とフルハーネス型のものです。
主に電柱に登っての柱上作業などに使う胴ベルト型(U字つり)に関しては、墜落を制止する機能がないことから、墜落制止用器具とは認められません。
※あくまで「法令用語」としての名称変更であるため、現場で安全帯という呼び方をしても問題はありません。
②原則「フルハーネス型」を使用
墜落制止用器具は、胴体全体を支持するフルハーネス型を基本とし、高さ6.75m以上の作業で着用を義務化しました。墜落事故の多い建設業では、5m以上でフルハーネス型着用を推奨しています。フルハーネス型の着用者が墜落時に地面に到達する恐れのある場合は、「胴ベルト型(一本つり)」を使用できます。
③「安全衛生特別教育」が必要
高さが2メートル以上かつ、作業床のない場所で、フルハーネス型の墜落制止用器具を使用する作業を行う場合は、特別教育(学科4.5時間、実技1.5時間)を受ける必要があります。
墜落制止用器具の規格とは?
安全性の向上と適切な使用を図るため、厚生労働省では下記のように墜落制止用器具の規格が決められています。
「墜落制止用器具の規格」概要
●使用制限:(1)6.75メートルを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具はフルハーネス型のものでなければならないこと、(2)墜落制止用器具は、着用者の体重とその装備品の質量の合計に耐えるものであること、(3)ランヤードは、作業箇所の高さ・取付設備等の状況に応じ、適切なものでなければならないことを定めます。
詳細については墜落制止用器具の規格(厚生労働省告示第11号)をご確認ください。

出典:厚生労働省 「安全帯の規格」を改正した新規格「墜落制止用器具の規格」を告示しました
なぜ胴ベルト型ではいけないの?
フルハーネス型の着用が原則となりますが、なぜ従来の胴ベルト型ではいけないのでしょうか。
胴ベルト型は腰に1本のベルトを装着するだけのため、体が抜け出てしまうリスクや、腹部の一部に衝撃荷重が集中してしまいます。万一の落下時に内臓損傷やベルトがずれ胸部等圧迫の危険性があります。実際に国内でも胴ベルト型安全帯使用時に、胸部が圧迫され死亡した事例が6件起こっています。
また、宙づり状態が長く続き、救出までに時間がかかると、ベルト部分への荷重で呼吸困難やしびれなどが起こり、危篤状態に陥る可能性があります。落下時に姿勢が安定せずに頭部が下に向く逆さ吊り状態になると、血圧等の負担がかかるだけでなく、地面との落下距離が短い場合には、頭から衝突することも考えられます。
そのため、複数のベルトで支持することで衝撃を分散でき、落下時も直立姿勢となるフルハーネス型の着用を基本としています。

完全移行はいつ?
法改正からおよそ2年経っていますが、現在は経過措置(猶予期間)という扱いになっており、着用義務化への完全移行は2022年1月2日です。下図のとおり、現在(2021年3月1日)は旧規格の墜落制止用器具の製造は終了しているものの、販売や使用については認められています。

出典:厚生労働省 資料「安全帯が墜落制止用器具に変わります!(2019年1月)」
2022年1月2日以降は新規格に適合しない製品の販売・使用が禁止され、胴ベルト型の使用が認められるケースを除いたすべての高所作業時にフルハーネス型墜落制止用器具の着用が義務付けられます。
完全移行まであと1年を切っています! 改めて墜落制止用器具への理解を深めるとともに、手元にある装備が新規格に則っているか確認しましょう。