日本管材センター株式会社

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豆知識

No.60

給水方式について(前編)

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。



蛇口をひねると出てくる水は、浄水場から水道本管を通って使用場所の近くまで運ばれてきます。そこから各蛇口へ給水するにはいくつかの方式があります。2ヶ月に渡り、それぞれの給水方式について説明していきます。
「給水方式について(後編)」と併せてご覧ください。

給水方式には大きく分けて「受水槽方式」「水道直結方式」の2パターンあります。
今月は受水槽方式について説明します。
受水槽方式は屋外や建物の地階などに設置された受水槽に、水道本管からの水を一度貯水してから供給する方式です。
受水槽方式の中でも大きく分けて「高置水槽方式」「加圧給水方式」の2パターンあります。



●高置水槽方式
高置水槽方式は、受水槽とは別に建物の屋上に高置水槽と呼ばれる水槽を設置します。水道本管の引き込み管から受水槽に貯水した水道水を揚水ポンプにて高置水槽に揚水し、建物内の必要箇所には高置水槽からの重力を利用して自然流下で供給する方式です。

高置水槽方式の特徴をまとめます。 
【特徴】
・断水時でも給水可能(受水槽や高置水槽の残量分であれば給水できる)
・電気代少ない(揚水ポンプの稼働は最小限の為、電気代はあまりかからない)
・停電時の一時的給水確保(高置水槽残留分のみ自然流下のため給水可能)
・維持管理費必要(受水槽・高置水槽の定期的な清掃や水質管理が必要)
・水質劣化の可能性大(水槽が受水槽と高置水槽の2箇所になるため、長時間滞留による水質劣化の恐れが他の給水方式に比べて高い)
・設置スペース必要(受水槽・揚水ポンプ・高置水槽の設置スペースが必要)
・意匠性低い(屋上に高置水槽が必要になるため美観を損ねる)


●加圧給水方式
加圧給水方式は、受水槽に貯水した水道水を加圧給水ポンプにて、流量や圧力の変化を感知しながら必要水量を直接供給する方式です。

加圧給水方式の特徴をまとめます。
【特徴】 
・意匠性高い(高置水槽がないため、建物の美観を損ねることはない)
・水質劣化の可能性あり(受水槽内での長時間滞留による水質劣化の恐れがある)
・高置水槽設置スペース不要(受水槽・加圧給水ポンプの設置スペースのみ必要)
・断水時でも給水可能(受水槽の残量分であれば給水できる)
・維持管理費必要(受水槽の定期的な清掃や水質管理が必要。)
・停電時の給水不可(加圧給水ポンプへの電力供給が止まると給水できない)
・電気代かかる(ポンプの稼働が多いため、電気代も高額になる)

受水槽方式はデメリットが多いように感じますが、断水時にも一定量の給水ができるという点で、病院や避難所など災害時でも給水を止めることができない建物で多く採用されています。

来月の豆知識では水道直結方式について説明いたします。