日本管材センター株式会社

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豆知識

No.58

排水・通気の仕組み

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。



日常生活において、洗面所やトイレ、お風呂などで何気なく流している水。滞留させることなくスムーズに排水するためには「通気」がポイントになります。今回は排水と通気の関係についてご紹介します。

●排水と通気の関係

排水は主に重力による自然流下で、汚水等を高所から低所へ流します。
排水管内は排水されていない時には非満水状態になっており、排水の際には空気の通り道を作る必要があります。空気の通り道を作ることによって、排水管内の圧力変動を低減させ、排水トラップの破封を防ぎます。(排水トラップと破封については2019年9月の豆知識「排水トラップの機能と破封」で詳しく説明しています。)
空気の通り道を作るために必要な管を通気管と言います。
排水と通気は密接した関係にあることから、一体の設備として扱われます。

●それぞれの通気方式

多く見られる4つの通気方式について、特徴を説明します。

◆各個通気方式
衛生器具ごとに通気管を設け、それらを排水横枝管に接続し、その末端を通気立管、または伸頂通気管につなげる方式です。

◆ループ通気方式
排水横枝管の最上流の衛生器具の下流直後から通気管を立ち上げ、通気立管、または伸頂通気管に接続する方式です。
各個通気方式とループ通気方式は排水管と通気管がそれぞれ必要になるため、パイプスペースが取りやすいオフィスビルなどで多く採用されます。



◆伸頂通気方式
通気立管を設けずに、排水立管の頂上を延長した伸頂通気管のみで通気を行う方式です。
延長した排水管は屋上部などから大気に開口、または大気への開口部に繋がる通気横主管に接続します。
伸頂通気管のみのため、通気立管を設ける方式に比べて排水の許容流量は少なくなります。そのため、主に戸建住宅や設置される衛生器具の少ない低層の建物に採用されます。

◆特殊継手排水方式
特殊継手排水方式は伸頂通気方式の一種です。排水立管と排水横枝管の合流部に特殊な継手を使用する方式です。
継手内部の羽状のガイドで、汚水等を旋回させ、パイプ内部に空気の通り道をつくることで、排水の許容流量を高めます。
高い排水性能があり、かつ通気管を設けず居住スペースを確保できるため、集合住宅やホテルなどにおいて採用されています。

●ベントキャップとは?

いずれの通気方式にしても、立管の最上部は屋上部などから大気に開放する必要があります。その際、通気口をそのまま開放してしまうと、木の葉やごみ、雪、虫、鳥の糞など様々な異物が混入してしまいます。そういった危険を防ぐために通気立管の蓋の役割を持つのがベントキャップです。

日本管材センターでは屋上(Roof) の型枠廃材を減らし(Reduce)、迅速な(Rapid) メンテナンスに応えるRハットというベントキャップも取り扱っています。

「排水」と聞くと汚水等だけを流しているイメージですが、実は「通気」も大事な役割なのです。
身近な例で言うと、醤油さしはスムーズに醤油を出すために注ぎ口とは反対に小さな空気穴が開いていますよね。通気を利用している例は他にもたくさんありますので、身の回りでどのようなものがあるのか探してみてはいかがでしょうか。