日本管材センター株式会社

お知らせ・関連情報

豆知識

No.40

硬水と軟水

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。



水を飲んだ時に「飲みやすくておいしい水だな」と感じたり、逆に「あまり美味しくないな…」と思ったことはありませんか?それは「硬水」と「軟水」の違いかもしれません。今回の豆知識では「硬水」と「軟水」の違いについてご紹介します。

硬水と軟水の違い

硬水・軟水の基準である硬度とは、水に含まれるカルシウム及びマグネシウムの量で表される指標で、算出基準は国により異なります。日本ではアメリカの基準が広く採用されており、「カルシウム量(mg/L)×2.5+マグネシウム量(mg/L)×4.1」で算出されます。 硬度を分類する基準も様々ですが、WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が0~60mg/Lを「軟水」、61~120mg/Lを「中硬水」、121~180 mg/Lを「硬水」181mg/L以上を「非常な硬水」の4つに分類しています。日本はほとんどが軟水ですが、ヨーロッパや北米では硬水が一般的です。

なぜ硬水と軟水という違いがでるのでしょうか?

水のミネラル成分は雨水や雪解け水が大地にしみこみ川となり流れていく過程で、周囲の地層などの成分が少しずつ溶け込んだものです。地域ごとに大地を形成している物質が違うこと、水の滞留時間が違うことで、地域によって硬度に差が出ていると言われています。

軟水

日本は山と海が近く、傾斜が急な地形です。岩石と触れる時間が短いので、ミネラルの少ない軟水になります。 また火山活動によってできた場所が多く、地層は主に火成岩でできています。火成岩の多くはミネラルをあまり含みません。そのため日本の水は軟水になります。

硬水

一方でヨーロッパをはじめとする硬水が多い地域では、山と海が遠く離れていて、緩やかな地形をゆっくり水が移動します。それだけ岩石と触れる時間が長いので、ミネラルを多く含み、硬水となります。 またヨーロッパには、貝殻や魚の骨が含まれた石灰岩の地層が広く分布しています。貝殻や骨にはミネラルが含まれているので、地層のミネラル分も多くなります。

硬度が約200mg/Lを超えると水中のミネラルが析出したものが白い汚れのように付着して、蛇口やシャワー口の水の出が悪くなることがあるようです。また約100mg/L以下になると硬度が高い水に比べて、金属の腐食性を高めると言われています。これは硬水の場合は石灰岩の主成分である炭酸カルシウムの皮膜が金属に付着しやすく、この皮膜が腐食を防いでくれますが、軟水に近くなると表面に炭酸カルシウムの皮膜を作ることが出来ないので腐食する可能性が高くなると言われています。

軟水の特長

ミネラルが少ない軟水は、胃腸が未発達な赤ちゃんや胃腸機能が弱っている人でも安心して飲むことが出来ます。さらに硬水と比べて刺激も少ないので、洗髪や洗濯にも適しています。 またクセが少ない軟水は一般的に料理に適しており、素材そのものを生かす日本の料理と相性が良いのです。 出汁を取るのも軟水ならではの方法で、またお米がふっくら炊けるのは軟水がお米の中に浸透しやすく、たっぷり水を吸収するからです。

硬水の特長

カルシウムやマグネシウムが豊富な硬水は運動後などミネラルが不足しているときの水分補給に適しています。 一方で料理に硬水を利用するとミネラルが豊富に含まれているため、たんぱく質が固まってうまみ成分が溶け出さない場合があります。 そのため硬水の地域が多いヨーロッパでは、水をそのまま利用せず、お米は炒めたり蒸したり、水を使わずスープストックや牛乳で煮たり、また肉も油で炒めたりローストする料理が多く作られています。

普段当たり前のように使っている水にも種類があるのですね。ミネラルウォーターを飲み比べてみたり、料理によって使い分けてみるのもいいかもしれません。