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「ウォーターハンマー」とは
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
蛇口の水を止めた時などに「コーン」という何かを叩いたような音や「ガン!」という衝撃音を聞いたことはないでしょうか?それは「ウォーターハンマー」という現象かもしれません。ウォーターハンマーという言葉自体は普段生活している中であまり聞きなれない言葉だと思います。しかし、私たちの生活にはとても身近な現象で、対策せずに放っておくと漏水などの深刻なトラブルの原因となります。そこで今回は「ウォーターハンマー」についてご紹介したいと思います。
ウォーターハンマーって?
ウォーターハンマーとは、「流速の急激な変化で管内の圧力が過渡的に上昇または下降することによって大きな衝撃が起きる現象」のことを言います。
例えば前述した、蛇口の水を止めた時に「コーン」という音がしたという現象に当てはめると、「蛇口の水を止めると【=流速の急激な変化】それまで流れていた水が行き場を失い【=管内の圧力が過渡的に上昇】、「コーン」という音がした【=大きな衝撃】」となります。
ウォーターハンマーの種類
ウォーターハンマーの例をご紹介いたします。
◆急激な圧力上昇によるウォーターハンマー
水道から流れ出ている水を急に止めた場合などに発生します。急激な圧力変動により配管が振動し、その配管が持つ固有振動(※)と共振することで衝撃(音)が発生します。
※固有振動=物体に外部から力を加えなくてもその物体が振動し続けるような振動。

◆水柱分離によるウォーターハンマー
ポンプから送られる水はパイプの中を「勢いよく移動」します。その最中にポンプが急停止すると「勢いよく移動」していた水はそのままパイプの中を移動するのに対し,ポンプ付近の水はポンプの急停止により「勢い」がなくなってしまいます。すると「勢いのある水」と、「勢いのない水」は分断され,その間には圧力の低い部分が発生します。この現象を水柱分離といいます。この水同士が管内でぶつかり合うことにより大きな衝撃が発生します。

上記はウォーターハンマーの原因の代表例です。(他にも蒸気系によるスチームハンマーなどもありますが、また別の機会にご紹介いたします) 対策をとらなければ管内の衝撃によってパッキンや管などが破損し、漏水の原因となってしまいます。また、接続されている給湯器などのセンサーの故障も招いてしまう場合があります。その衝撃は配管へのダメージのみならずマンションの上下階や隣家にとっては「原因不明の異音や振動」となり近隣トラブルへつながってしまう恐れがあります。
ウォーターハンマーを防ぐにはどうしたらいいか
すぐに出来る対策として水道を使ったときは「ゆっくりと閉める」ことを心がけることです。また、「水道の元栓を絞る」ことも挙げられます。管内を流れる水の勢いが弱まり、食洗器などが急止水する時の圧力変化が弱まります。しかし同時にシャワーなどの水圧が弱くなってしまうこともあるので注意が必要です。 他には「水撃防止器」を配管に取り付けることで水の勢いを吸収し衝撃を抑えることが出来ます。水撃防止器の内部には緩衝材が入っており、水圧の急激な上昇を緩衝材が吸収することでウォーターハンマーを防ぎます。キッチンの蛇口やトイレの給水管の場合は止水栓などに取り付けられる場合が多いです。 また、ポンプ側ではフライホイールと呼ばれる車輪を取り付けると慣性力によってポンプの回転を安定させながらゆっくりと停止できるため、圧力の急激な変化を抑えることができます。

ウォーターハンマーは、深刻なトラブルに結び付いてしまう要注意現象です。異音や衝撃が発生していることに気づいたらお近くの水道屋さんに相談して対策をとりましょう。