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快適トイレで人手不足解消!?
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
2020年の東京オリンピックに向けて建設ラッシュが加速する中、建設業界が抱える人手不足という問題はますます深刻化してきています。
男性社会のイメージが強い建設業界ですが、男性だけで人手不足を補うことには限界が来ており、今は女性の建設業界への進出が期待されています。そしてその後押しとして取り組まれているのが「快適トイレ」の導入です。
女性が建設業界に進出するための後押しに使われるのがトイレ?と驚く方もいるかもしれませんが、実はこのトイレが非常に重要なポイントなのです。
男性が圧倒的多数を占めている建設業界ですので、建設現場のトイレは基本的に男性のみが利用するための仕様にしかなっていないものがほとんどで、多くが汲み取り式の仮設トイレを利用していました。
仮設トイレといえば一般的には狭い・汚い・臭いなどあまりいいイメージを持っている人はいないのではないでしょうか。そんな不衛生なイメージのある建設現場のトイレは、女性にとっては不快で使いづらく、女性の建設業界への進出にはマイナスポイントになってしまいます。
トイレは毎日使うものだからこそ、衛生的で、きれいで、使いやすいものがいいというのは、女性はもちろんですが、男性にも共通した希望かもしれませんね。

国土交通省では、建設現場を男女ともに働きやすい環境とする取り組みを進めています。その一環として、男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付け、平成28年10月1日以降、同省から工事を受注した建設業者に対し、「快適トイレ」を作業現場に設置することを義務付けています。
国土交通省で決定された建設現場に設置する「快適トイレ」の標準仕様には
・容易に開かない施錠機能
・電源不要で使える照明設備
・耐荷重5kg以上のフックまたは荷物置き場
・男女別の明確な表示
・入口目隠しの設置
・サニタリーボックス
・鏡付きの洗面台
・便座除菌シート等の衛生用品
など、女性ならではの防犯上の懸念、衛生面や身だしなみに関する不安などを払しょくするような内容が盛り込まれています。
標準仕様の詳細は国土交通省HPをご覧ください。
(出典:国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000353.html)

国土交通省から発表された快適トイレの事例集(http://www.mlit.go.jp/common/001146979.pdf)には、「快適トイレ」の標準仕様を満たすトイレが多数掲載されています。
①のコマツレンタル株式会社の快適トイレ(簡易型)は、まるでトイレに見えないおしゃれな外観が特徴です。暖房便座に、フィッティングボード、擬音装置・・・と女性に嬉しい設備がそろっています。
②の東山産業株式会社のCu・to(キュート)は、なんと休憩室と更衣室、洗面所、トイレを兼ね備えた女性専用のレストスペースです。女性だけでホッと一息つけるスペースがあると、仕事にもメリハリがつけられそうですよね。

※①、②とも 国土交通省HP内 「快適トイレ」の事例集(訂正後) (http://www.mlit.go.jp/common/001146979.pdf)を加工して作成
実際に快適トイレを導入したことで、安心してトイレを利用できるようになった、トイレのたびに近隣のコンビニまで足をのばす必要がなくなった、など喜びの声が上がっているようです。

快適トイレの導入を進めるために、国土交通省では助成金を出すといった取り組みや、普及への道筋として地方自治体への働き掛けも行っています。千葉県や茨城県でも助成金を出して快適トイレ普及促進に取り組んでいるほか、じゅうたく小町でも快適トイレ推進プロジェクトを発足させるなど、全国各地、多くの団体が快適トイレの普及拡大に向けて活動しています。
快適トイレの導入は建設現場だけにメリットをもたらすものではありません。
建設現場への普及が進めば、メーカーも増産し災害時に避難所に貸し出されるトイレも快適なものに変わっていくと期待されています。
従来の和式がメインの仮設トイレは子供や足腰の弱い高齢者らには使いにくく、衛生面の不安もあることから利用を控え体調を崩す人も出ていました。
安心して衛生的なトイレが使えるようになると、ストレスがたまりがちな避難所での生活が少し楽になるのではないでしょうか。

排泄や身だしなみを整えるのは、人間として大切な尊厳にかかわる部分でもあるので、建設現場はもとより、災害時にも使える快適トイレの普及が進んでいくといいですね。