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再利用される水“中水”
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
「中水」という言葉はご存じでしょうか。あまり聞きなじみのない言葉かも知れませんが、「上水」、「下水」は聞いたことがあると思います。この二つの中間に位置するという意味で中水と呼ばれている水があります。
“中水”とは?
中水とは「飲むことは出来ないが、人体に影響を及ぼさない形で再利用される水」のことを言います。一度使用した水道水や雨水を再生処理し、中水として生まれ変わらせます。その後、上水道、下水道のように中水道を通り雑用水として再利用されます。下記の図ではトイレでの中水使用を例に挙げていますが、温水洗浄便座には上水を使用しているため、中水を用いるトイレは二系統の配管となっています。
主にどこに使われているの?
中水の使用例としてトイレの洗浄水の他には以下のようなところが挙げられます。
- 屋外清掃用水
- エアコンなどの空調用水
- 噴水や池などのレクリエーション用水
- 融雪用水
- 床暖房用水
- 散水
一方、シャワーや台所、加湿器などは人体に直接触れるため、使用できません。
なぜ中水を使うのか
節水による環境保全とコスト削減が主な理由として挙げられます。特に水の需要が多い東京では、一定規模以上の建築物、開発事業を計画している事業者には雑用水、雨水利用促進の要綱が定められています。
他には、山間部に位置し、給水状況に不安がある公共施設などに使われています。電源さえあれば中水利用システムを導入することによってトイレ用水などにはほとんど困ることはありません。中水利用システムと一緒に太陽光発電システムもあればさらに安定した供給が望めるでしょう。
水は大切な資源です
中水のみならず水の再利用は大切なエコ活動です。自治体が水の再利用を主導しているケースも多く見受けられます。例えば墨田区は昔から雨水の再利用を進めています。街を歩くと至る所に雨水タンクがあり、草木の水やりや防災用水として使われています。また、江東区や世田谷区なども雨水利用を推進しており、屋根にふった雨水を溜めておく雨水タンクを設置する区民や施設には助成金を交付しています(一部対象外)。住戸や各施設の雨水タンクの設置は道路冠水や家屋浸水のような都市型水害の防止にもなります。仮に世田谷区の全世帯に雨水タンクを設置した場合、国内にある小規模のダムと同等量の貯水が出来るそうです。
普段の生活圏の中でも至る所で中水や雨水は利用されています。水も限りある大事な資源なので大事に使っていきたいですね。