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南極「昭和基地」の生活水
管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。
1月29日は、60年前に日本が初めて南極に「昭和基地」を設営した日です。1957年に南極観測隊がオングル島に到着し、天体気象・地球科学・生物学の観測を行う施設として現在まで稼働しています。(昭和基地は、南極大陸の上ではなく、南極大陸と海氷でつながった南極圏内に位置しています。)基地内には居住棟があり、その中では60名の南極地域観測隊員が暮らしています。今回は、南極という極寒地で隊員たちの生活を支えている生活水について、ご紹介したいと思います。
コージェネレーション(熱併給発電)を利用してエネルギー効率を上げる!
地球の最も南に位置する南極では、平均気温が0度を下回るため、海の水は分厚い氷で覆われています。穴をあけて水を汲み上げるためには大変な労力が必要となるため、昭和基地では夏(12月あたり)に雪解け水を基地近くに建設した荒金ダムで貯水し、ポンプや架橋ポリエチレン管にゴム系独立発泡断熱材を巻いた保温管を利用して基地内の貯水タンクに水を貯めています。冬(5月あたり)になるとこれらの水は凍結してしまう危険性があるため、基地の発電機の冷却水熱を利用して水を温め、凍結を防いでいるのです。このように排熱を利用してエネルギー効率を上げる仕組みは、コージェネレーション(熱併給発電)と呼ばれ、南極以外でも給湯器や暖房で利用されています。
南極においても生活水を利用するには、水の通り道である配管やポンプなどが必要となります。昭和基地にも、年に一回だけ観測隊員や食糧などと共に、配管などの建築資材が観測船に積まれて運ばれていきます。観測船「しらせ」は約1000トンの荷物を運ぶことができますが、うち600トンは燃料で、残りの400トンの中に建築資材などの物資が含まれます。大型の資材はデッキの上のハッチからクレーンで直接積みこみ、甲板にある貨物用のエレベーターを使って貨物室に荷物を降ろしていきます。実は、日本管材センターで取り扱っている設備機器・配管材類も昭和基地へと運ぶために、何度か観測船へ納入を行っています。
南極地域観測隊員は、主に国家公務員や研究者で構成されますが、民間の建設設備業者が同行する場合もあります。また、隊員が現地で施工が出来るように、施工の研修などを事前に日本で行う場合もあるようです。では、これまでに昭和基地で採用された設備機器・配管材類をご紹介しましょう。

南極は火事も多い!?
現地の厳しい寒さの中、配管の溶接やろう付けは難しく、グルービングやメカニカル、プレス式などの接続方法が好まれているようです。また、南極は大変乾燥しているため火事も多く、消火設備も整っています。
