日本管材センター株式会社

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No.7

ビル空調設備

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。



7月に入り、本格的な暑さがやってきましたね。この時期になると、オフィスや商業施設など屋内に入ればどこも冷房が効いていて快適に過ごせますよね。そこで今回は、ビル内の空調システムについてご紹介します。

2つの空調方式

ビルは一般住宅に比べて室内の面積が広く、高さもあります。出入口や窓だけではビル内すべての空気を入れ替えることは難しく、衛生的に良くありません。そこで、空調システムの力を借りる必要があるわけです。病院や大規模マンションを除くほとんどのビルでは、ビル衛生管理法で温度や湿度なども規定されているので、冷房・暖房も空調システムで調整しています。

ビルの空調方式には大きく分けて「中央方式(セントラル空調)」「個別方式(ビルマルチ空調)」の二通りがあります。中央方式(セントラル空調)は、ビル内の中央機械室に冷凍機、ボイラー、ヒートポンプなどの熱源機器を集中して設置します。そこで発生させた冷水または温水をポンプで循環させて各フロアまたは個室に設置した空調機内の熱交換器に通水し、空調機から吹き出す空気を冷却または加熱させます。これは冷水、温水を送り出す水方式といいます。
水方式の代表がファンコイルユニットです。機械室で作られた冷水、温水が個室ごとに設置されたユニット内に送り込まれ、個室単位で空調します。しかしその際、個室内の空気を冷風・温風に変えて冷暖房するため、新鮮な外気を直接取り込むためには換気を行わなければなりません。他の空調方式の場合、新鮮な外気を吸い込んで、それを冷風・温風に変えて吹き出すため、換気効果もあります。ただし、毎回外気を吸い込んで冷風、温風に作り変えていては非効率的なので、実際は、すでに空調した部屋の空気も一部吸い込み、それを新鮮外気とともに利用して空調しています。そこで、ファンコイルユニットには、外気を専用機械室からダクトを通して各階・各個室へと送り込むダクト併用ファンコイルユニット方式という方法もあります。この方法は、外気を直接ダクトで送り出すだけではなく、一部空調した空気を施設全体へ送り出し、各階・各個室にその空気をファンコイルユニット内に取り込んで空調することが出来ます。しかし、各階・各個室に空調の調節は出来ません。

大幅な省エネ化も可能なビルマルチ空調

1979年頃の日本では、このセントラル空調が規模を問わず多くのオフィスビルで使われていました。しかし、「エネルギー使用合理化法(省エネ法)」が公布されたことによって、空調機各メーカーはエネルギー消費効率を上げることに注力し始めました。ポンプや送風機の動力が大きく、また費用もかなり掛かるセントラル方式に代わって台頭したのが、「個別方式」のビルマルチ空調です。
個別方式は、中央熱源を持たず、空調機を各部屋に分散して設ける個別分散型空調方式のことをいい、屋上などに設置する屋外機と室内の天井などに設置する室内機を冷媒でつなぐ、冷媒方式です。圧縮機・凝縮器・蒸発器などの冷媒サイクル系機器及び送風機・エアフィルター・自動制御機器・ケーシングなどから構成された工場生産のパッケージ形空気調和機を単独または多数設置するパッケージ式というのが代表的です。これはビルマルチ空調と呼ばれています。必要な部屋ごとに空調の調節ができるので、建物の使用状況によっては中央方式(セントラル空調)に比べて大幅な省エネ化が可能です。

中央方式(セントラル空調)と個別方式(ビルマルチ空調)の比較表

  • 中央方式(セントラル方式)

    個室方式(ビルマルチ空調)

  • 空調設定

    中央方式(セントラル方式)
    一括
    個室方式(ビルマルチ空調)
    個別
  • 流体

    中央方式(セントラル方式)
    水・空気
    個室方式(ビルマルチ空調)
    冷媒
  • 設備構成

    中央方式(セントラル方式)
    熱源機器・ファンコイルユニット
    (またはエアハンドリングユニット)
    個室方式(ビルマルチ空調)
    室外機・室内機

日本管材センターの入っているビルは、各フロア各エリアで空調調節が可能な個別方式が採用されています。それでも体感温度に差がありますし節電も考えて、夏場は26度以上に設定するのが良いかもしれませんね。