日本管材センター株式会社

会社情報

海外ネットワーク

ハノイレポート

No.13

ベトナムのサッカー事情

Xin Chao(シンチャオ)、ベトナム連絡事務所の樋口です。
今回のシーズンレポートは、昨年末にカタールで開催されましたサッカーワールドカップに纏わり、ベトナムのサッカー事情についてお伝えいたします。

2022年12月発表のFIFAランキングではベトナムは現在96位で、近隣の東南アジア諸国タイ(111位)、フィリピン(134位)、ミャンマー(159位)などの中ではトップのランキングとなっています。(ちなみに日本は20位です)(FIFA世界ランキング2022.12.22)
今回のワールドカップを経て多少の順位変動はありましたが、注目して欲しい点として、ベトナムが東南アジアの中ではトップに位置しているという事です。もちろんアジア全体で比較すれば、韓国(25位)やオーストラリア(27位)、イラン(24位)、サウジアラビア(49位)などのアジア強豪国には劣りますが、今回のカタールワールドカップでも最終予選で日本と同組になり、ホーム&アウェーでの2戦の結果が、0-1と1-1と大変善戦していたことをまだ覚えている方も少なくないのではと思います。


そんな今後の活躍が期待できそうなベトナムですが、実は日本ともいくつか接点があります。例えば昨年までU-19ベトナム代表の監督が元日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエ氏であったり、J1所属の川崎フロンターレがベトナムでサッカーアカデミーを開業、コーチ陣の短期派遣による育成世代の強化に力を入れていたり、ベトナムのプロサッカーリーグ所属FCサイゴンが一昨年に元日本代表の松井大輔選手を獲得したことでも話題に挙がりました。

ベトナム代表の近年の成績は、2018年に開催されたU-23アジアカップ(AFC)で次々と強豪国を撃破しベトナム初、準優勝に輝きました。決勝では降雪の中ウズベキスタン相手に1-2と惜しくも敗れてしまいましたが、未だ記憶に新しい出来事として覚えています。また、同年に開催された東南アジアカップ(AFF Suzuki Cup)では見事に優勝しています。2019年はアジアカップ(AFC)で準々決勝まで進出、惜しくも0-1で日本に敗れましたが、そのとき国民の皆が近い将来の日本撃破を夢見たと思います。


ベトナム人、特に男性はサッカーがとても好きです。至る所にフットサルコートほどのグランドが点在しており、11人制サッカーができるグランドもいくつもあります。私もいくつかのサッカーチームに所属し、よくベトナム人と対戦しますが、皆さんとても上手で驚かされます。また、街中にある喫茶店のテレビは、頻繁に欧州リーグの試合を流しており、それを目的に集まる客層が非常に多いです。もちろん代表戦となると普段サッカーをしない人、観ない人、女性からお年寄りまで皆が集まって観戦するほどの熱狂ぶりです。 そんな方々と一緒に観ると、皆サッカーのルールをよく知らない、選手の名前を知らないなどと平気な顔で答えますが、それでも一緒に国を応援することが楽しいとの返事をよく耳にします。
それほどにベトナム人にとってサッカーは、注目度が高くなってきたスポーツの1つと言えるのではないかと感じました。そして、上で紹介したような国際大会で勝利をするたびに、国民がみな大喜びし、試合終了後に市中がパレード化してしまうほどの熱烈ぶりです。私が当初面を食らったのが、2018年のU-23アジアカップでベトナムが準優勝した翌日に日本からハノイに行きましたが、その日がたまたまベトナム選手の凱旋帰国の日だったため、空港からハノイ中心地までの主要幹線道路が封鎖され、選手を迎えるパレードが延々と催され、私が空港からアパートまで掛かった時間がタクシーでおよそ6時間弱と、フライト時間とあまり変わらないほど費やされてしまったことです。

しかしながら代表の試合が注目を集める一方で、国内リーグの試合は観客数が少なく、試合当日でもどこか閑散としており関心の低さが伺えます。日本のJリーグのような各クラブの地元・地域・町や市が一体となってサポートしているような体制・組織はまだ整っていないと感じます。プロ化されてから20年余りが経つ今でも、サポーター作りやスポンサー獲得への努力は見えず、収益化の糸口が見えないままでクラブ運営の強化や育成強化に繋げることが難しいのは明白です。ほぼ同時期に発足したタイのプロリーグと比較して明暗がはっきりと分かれてしまったことが簡潔に記載された記事を紹介しますので、ご関心ある方は以下URLをご参照ください。

Vリーグとタイリーグ、発足から10年余りで明暗くっきり [スポーツ] - VIETJOベトナムニュース (viet-jo.com)

各クラブが本格的にクラブ運営を改善し地域に密着したファン作りが功を奏せば、次世代のサッカーファンは一層増え国内リーグ全体のレベルが各段に上がり、結果として代表が国際大会でより活躍し国民全体の注目が増す好循環になるのではと感じています。 インフラ、施設、運営、組織など様々な点で遅れているからこそ、逆にそこにポテンシャルがあると私は強い魅力を感じてなりません。一サッカーファンとして、ベトナムサッカーの発展に期待を込めて微力ながらも応援し続けたいと思います。

  • パレードの様子
  • パレードの様子