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ハノイレポート

No.8

ベトナムの中秋

Xin Chao(シンチャオ)、FriKaの樋口です。
今回のハノイシーズンレポートは、ベトナムの中秋についてご紹介致します。

日本の中秋

日本で中秋と言えば、「中秋の名月」「お月見」と言われるように月を愛でる習慣があり、月へのお祝いやお祈りをする文化があると思います。またその月を「十五夜の月」と呼んだりしますが、十五夜とは旧暦の8月15日を指しています。以前のシーズンレポートにて新暦と旧暦についてご紹介しましたが、旧暦の8月15日を新暦に直すと、毎年その月日は異なるということになります。当の私自身も小さいころは旧暦の存在も知らず、新暦の9月15日がお月見の日と勘違いしていました。
天気予報をよくご覧の方であれば、キャスターが時折「本日(または明日など)はお月見の日です」と紹介されるので気づくかもしれませんが、そうでない方は、気づいたら「お月見の日」が過ぎていたということもあるのではないでしょうか。ちなみに2021年の中秋は新暦では9月21日でした。

ベトナムの中秋

一方でベトナムでは中秋は年間行事の1つとして盛大に迎えられます。
昨年と今年はコロナ禍により自粛ムードが続いており非常に残念ですが、本来は家族や親戚同士、会社などの関係先同士、友人知人同士などが幅広く「月餅」と呼ばれるお菓子を配り、皆で中秋を迎えることをお祝いします。従ってこの中秋の前には、月餅を売るお店がそこら中に立ち並び、その時期が来たことを感じることができます。そして、日本のお中元のように菓子折りを持って関係先へお伺いし、互いの近況を確かめ合うという古き良き風習が今もなお根付いています。また、この菓子折りを持っての挨拶以外にも、写真のように獅子舞や人々が踊ったり歌ったりする催し物も数多く、お祭りに近いような出店が立ち並ぶ地域もあります。

ベトナムの中秋の起源

中秋をお祝いする文化は元々中国を起源としてベトナムに伝えられたとされています。日本と同じくベトナムも水稲文化のため、月を神として拝める文化があります。旧暦の8月は稲の収穫時期に該当し、収穫を終えた家族の休暇を祝う文化として、お供え物をした後に月の下で、収穫した作物から作られた料理を囲みながら宴会を行うという文化が広がりました。また近年では、中秋を子供の日としてお祝いする文化も生まれ、子供のための催し物も多く見受けられるようになりました。

中秋のお菓子「月餅」

さて、最後に写真のお菓子がどんな味かと言いますと、一言で表すならかなり甘い餡菓子です。大きさもどら焼きくらいあるので、とても1人で食べ切れる量ではなく、お茶などの口直しができる物がないと相当厳しいというのが個人的感想です。ベトナム人にとってもかなり甘いと感じられるそうです。当初はもう少し食べやすくすれば良いのにと思っていましたが、その味自体はあまり重要ではなく、そのお菓子を切ってみんなで食べてお祝いするということが、ベトナムの人々にとっては大切なのだろう、と感じました。
日本にいる時には、私の家族はお月見の日にお団子を作って仏壇にお供えし、家族用にも作って皆で食べていましたが、理由も分からずにうまいうまいと食べていたことを思い出します。家族の絆を感じる風習がそこにあったのかと今更ながら気づいた訳ですが、今回ご紹介した中秋以外にもそのような風習がたくさんあるのかもしれません。