日本管材センター株式会社

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No.2

シングルレバー統一への道

管工機材を中心に扱う専門商社である日本管材センター株式会社では、毎月建設設備業界に関する豆知識を紹介しています。



水栓金具いろいろ

水栓金具には昔からある馴染み深い回転式のハンドルや、手をかざすだけで水が出る自動水栓など、さまざまな操作方法の物があります。その中でもレバーハンドルを上下左右に動かすことによって水量や温度の調節ができるシングルレバー水栓が、現在では最もポピュラーな水栓金具といえるでしょう。

2通りの操作方法

このシングルレバー水栓ですが、日本では長い間、レバーを上げると水が出る「上げ吐水方式」とレバーを下げると水が出る「下げ吐水方式」2種類の操作方法の商品が混在していました。各メーカーによって、どちらの操作方法か分けられていたので、ひとつの家の中でもキッチンや洗面所でメーカーが違うと、キッチンではレバーを上げると水が出るのに、洗面所ではレバーを下げると水が出る……といったとても不便な状況が生まれる可能性がありました。みなさんも外出先で、水を止めようと思ってレバーを下げたら、水が勢いよく出て水浸しになってしまった……という経験が一度くらいはあるのではないでしょうか?こういった消費者からの強い要望もあり、操作方式の統一化が検討されるようになりました。

上げ吐水、下げ吐水どちらに統一?

操作方式の統一化にあたって、「上げ吐水方式」と「下げ吐水方式」どちらに統一するかという問題がありました。

  • 「上げ吐水方式」派の主張

    「下げ吐水方式」派の主張

  • 「上げ吐水方式」派の主張
    上から物が落ちてきたり、誤って手をついたりした時、下げた時に止水する方式の方が安全性に優れる。
    外国では上げ吐水方式が標準になっており、国際的な整合が図れる。
    「下げ吐水方式」派の主張
    人間工学的な観点では、「レバーを下げると水が下に落ちる」という感覚の方が自然で、操作性に優れる。

安全性や操作性の面から、どちらに統一するかの議論が続けられていましたが、なかなか決着はつきませんでした。最終的な決め手となったのは、今後国際的な社会に進んでいく中で外国の標準に足並みを揃えることの重要性でした。欧米をはじめ、海外製品のほとんどが「上げ吐水式」を採用しており、国際的な整合性を重視た結果、1997年度のJIS改正でシングルレバー式水栓がJIS製品になることに際し、統一のための猶予期間を経て、2000年4月1日から「上げ吐水方式」に統一することが決まりました。

阪神淡路大震災の影響も

統一化の流れをつくることになった要因の一つに、1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災があるとされています。マンションなどで下げ吐水方式を使っているところでは、棚から物が落ちた時にレバーにあたり、水が出っぱなしになってしまい、周囲や下の階が水浸しになる、受水槽に溜めていた水が少なくなり水不足に陥る、などの二次災害につながったこともあり、上げ吐水方式への統一への後押しになりました。

この統一化によって消費者は、家の中はもちろん、街中でも、さらには海外に行った際でも、戸惑わずにシングルレバー式水栓を使えるようになったんですね。