日本管材センター株式会社

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シーズンレポート

ドバイレポート

No.35

支店開設からの振り返り

ドバイ支店の原田です。

前回のレポートから今回のレポートまでの約3か月の間、UAEはラマダーン月をはさんで、今は本格的な夏モードに突入しています。今年のラマダーンも昨年同様、感染防止対策のためにイベントや大規模な会食が制限されていたため、お祭りムードがなく静かに過ぎてゆきました。
今年のラマダーンで驚いたのは、路面店やモール等の全ての飲食店が、衝立や目隠しをせずに堂々と営業していたことです。本来ならば日中に営業する飲食店は、断食しているムスリムに配慮する意味で、飲食の風景が外から見えないような工夫が必要です。しかし今年は断食の慣習を全く気にせずに丸見えの店内で飲食ができるため、ラマダーン中である事をうっかり忘れそうになります。
こうした指針は全て政府によって規定されており、宗教的な配慮よりも店内で密が発生するリスクを重要視した決定は、とても現実的な対策として肯定的に受け止めています。
コロナ禍であっても宗教的な意義に変わりはありませんが、断食がもたらすお祭り騒ぎの雰囲気が無いラマダーンは、季節感に乏しく寂しく感じました。

今回は、支店開設から今日までの活動を振り返ってみたいと思います。

ドバイ支店は2007年5月、ドバイのジュベルアリ・フリーゾーン(経済特区)内に設立されました。
当社として初めての中東事務所です。当時は不動産バブルと建設ラッシュのためドバイが沸いており、プロジェクトに参画している日系顧客向けの需要増加が決め手となって進出しましたが、2009年にドバイショックと呼ばれるバブル崩壊が起こり、多くの企業がドバイを去ってしまいます。当初計画していた日系企業との協業は2年足らずで雲散霧消となり、出鼻を挫かれる難しい出発を余儀なくされます。

この後、徐々にローカルの設備会社に営業対象を広げて活動を続けていくのですが、ローカル市場にはすでに大手・中小の材料業者がひしめき合っている現実を目の当たりにします。
主にヨーロッパ、中東、インド、東南アジアや中国の製品が流通しており、価格や品質も幅広く多岐に渡ります。何が売れ筋の商品なのか、対抗できる製品は何か、販売する環境をどう構築するか、これを日々追求していくなかで、「仕入れ」と「販売」の両立が如何に大変かを体験していきます。

成約に至るまでには、技術面・商業面においてクリアすべき課題があります。先ずは設計事務所から材料承認を得なければなりません。
審査項目には販売店の規模、在庫の有無やアフターサービスが問われ、製品毎にメーカーの実績、認証の有無、QAQCや設計データ等の資料を提出して案件の要求基準を満たす事を証明する必要があります。
これに並行して顧客と価格や納期の交渉をおこない、必ず材料承認とセットで契約が成立します。
その他、施工指導や施工立ち合い、動作確認や性能保証が求められ、案件によっては顧客による工場視察までが契約条件のパッケージとして盛り込まれるため、メーカー様の全面協力が必須になります。

また、当地の典型的な商習慣として代金回収に時間がかかります。条件によって数年を要するケースがあるので、資金繰りへの影響は避けられません。そのギャップを埋めるために、日々の営業を通じて様々な商材にトライしてきました。上手くいった事もあり、失敗した事もあり、ドバイの業務から学んだことはたくさんありますが、簡潔に纏めたいと思います。

日本製品は概して信用度が高く、商品力が高い製品ほど先進性や品質面で訴求できるため、他社と差別化しやすいですが、高品質・高価格の程度によっては、過剰と見なされて競争力を失う恐れがあります。一方、手離れの良い一般管材はネームバリューや質ではなく、量とスピード勝負になるため、それを持てる者が圧倒的に有利です。ニーズを正確に汲み取り適切な準備と提案ができるか、が成功のポイントになります。建築設備では使用される材料が非常に多く、要求も多岐に渡るため、できるだけ多くの選択肢を持っておくことが肝要です。

そのためには、より多くのメーカー様とパートナーシップを組んで商材を増やすことが出来れば、提案できる商材が増える分、顧客との接点も増えて、成約の可能性を高める手段の一つとなるでしょう。
または、特定の製品を突き詰めていき、現地で付加価値を生むような機能を持つ工夫ができれば、現地に根差していると見なされて信用を得やすいと考えられます。
はたまた、価格のみを重視して最安値の商材を第三国から仕入れるならば、見しらぬ相手と遠隔でやり取りをすることで生じる金銭的、品質的なリスクがあるため、信用できる相手と出会う運も必要です。
何にせよ、ローカル市場に進出して生き残っていくためには、自分たちの存在意義を確立しなければならず、何を以て自分の存在意義を相手に知らしめるかを常に意識してきました。いつか実現できるよう、これからも挑戦は続きます。

幸いにも、現地の商習慣を理解して根気よく付き合って頂けるメーカーの方々と試行錯誤しながら今日まで活動してきました。前述したように一つの案件に関わる期間は必然的に長く、メーカー様の理解とサポートなしには成しえない事ばかりです。この場を借りて御礼申し上げます。

2021年6月
ドバイ支店 原田

最後に、ドバイに関する写真をご紹介します。 ドバイの雰囲気を少しでも感じ取っていただけますと幸いです。