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シーズンレポート

ドバイレポート

No.29

噴水にみる水への憧憬

ドバイ支店の原田です。

12月から1月にかけて最も気温が下がる冬のドバイは、一年のうちでもっとも過ごしやすい季節です。日中でも30度を下回り、日本の秋晴れのような清々しい日が続いています。例年の猛暑とコロナ禍のために外出が憚られた時期を経て、今は行動規制の緩和と天候のおかげで、多くの人がテラス席でのカフェや食事、公園・ビーチ等でのピクニックを楽しんでいます。

新型コロナウイルスの脅威が去った訳ではありませんが、マスクの着用と対人距離確保のルールが順守されている限り、人々は自由に外出でき、ある程度まで日常生活を取り戻せています。夏から冬にかけて感染者数が激増した際は、再び外出制限や会社・学校の閉鎖などの規制が実施されないか心配でしたが、当局による違反者取り締まりの強化及び厳罰化に留まり、特に新たな行動制限なく今日まで過ごせています。日々の感染件数は高止まりしたまま常態化しているものの、ドバイは世界に先駆けて世界各国への国際線フライトを再開して観光客を受け入れ始め、ヒト・モノ・カネのハブ機能としての姿をいち早く取り戻そうという決意がうかがえます。

今回のレポートは「水」についてです。

コロナ禍においてもドバイは世界が注目する話題作りに余念がありません。11月末日、UAEの建国49周年に合わせて、ヤシの木(パームツリー)の形状で造成された世界最大の人工島「パーム・ジュメイラ」に、世界最大とギネス認定された噴水「パーム・ファウンテン」が誕生しました。記事によると噴水にはLEDライト3,000個超、噴射ノズル7,500個超が設置され、噴水の高さは最大105メートルに達します。噴水と言えば、ドバイで最も有名な世界一高い建造物「ハリーファ・タワー」麓の人工池で行われる噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」が人気ですが、今回新しくオープンした「パーム・ファウンテン」も、ラグジュアリーなホテルや高級別荘が立ち並ぶ人工島の突端で行われるショーとあり、話題になりました。

  • パーム・ファウンテンの噴射ノズル(竣工前に撮影)
  • ドバイ・ファウンテンの噴水ショー

世界中で、程度の差こそあれ、海や川や滝や湖などの水辺にまつわる場所が観光名所となることは珍しくありません。実際、水に恵まれている日本人にとっても「水」が近くにあることで自然と癒されると感じる人が多いのではないでしょうか。しかし、水が豊富な日本とは異なり、UAEは国土のほとんどが砂漠で、年間降水量は100ミリに満たず、通年で流れる川もない極乾の地です。これほど雨の降らない砂漠の国に水をふんだんに使った世界的に有名な噴水が二つも存在することに驚きます。

また、日本では、駅前広場やオフィス街、公園などに芸術的なオブジェや銅像が多く設置されていますが、ドバイではオブジェなどの建造物はあまり見かけず、公園を始め、オフィス街や住宅地などいたる所に人工池や噴水があり、徹底管理された灌漑システムによって一年中青々としている芝生や花壇が多く見られます。何れも水を惜しんでいては実現できない贅沢な光景です。実はこれらの水はコストをかけて人工的に造られた水なのです。

UAEでは⽔は⾃然に⼿に入らない資源のため、アラビア湾の海⽔を脱塩して真水を造る海⽔淡⽔化(Desalination)技術によって水を確保しています。海⽔淡⽔化には様々な⽅法がありますが、ドバイでは主に、火力発電所の排熱で海水を焚き、水蒸気を液化して真水を得る「蒸発法」と、海⽔に⾼圧をかけてフィルタリングして濾過する「逆浸透膜法(Reverse Osmosis)」が併用されています。ドバイでは日々、⼤量の化⽯燃料を消費しながら水が造られており、⽔道⽔や飲料⽔として市民に届けられています。そして使用された水(下水)は処理され、噴水やスプリンクラー、灌漑などに再利用されます。

1960年代に油田が発見されて経済が急発展する以前は、海水淡水化技術など無かったため、人々にとって砂漠のオアシスで出会う湧き水は、まさに生命の水であったはずです。水資源に乏しい過酷な土地だからこそ、これら水へのこだわりが生まれたものと想像できます。豊富な石油資源により経済発展したことで、UAEは世界一の建物やショッピングモールなど様々な世界一を作り続けていますが、水資源への強い憧れは変わっておらず、豊富な「水」を持てることが富の象徴そのものだと捉えることができます。

  • 公園の噴水
  • ショッピングモール内の噴水

最後に、 水へのこだわりは噴水だけにとどまらず、砂漠の真ん中に巨大なハート形の人工池まで誕生しました。今後も水関連の話題には事欠かないと思われます。

2020年12月
ドバイ支店 原田

  • 砂漠の人工池:通称LOVE LAKE
  • 住宅エリアの人工池