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ドバイレポート

No.32

コロナ禍のドバイ

ドバイ支店の原田です。

3月に入り、日中の日差しが日増しに強くなってきました。しかしまだ朝晩は涼しく、外出に適した気候が続いています。毎年この季節は風の強い日が多く、巻き上げられた砂漠の砂が大気中に浮遊して街全体の視界が悪くなります。砂埃の日々がひと段落する4月頃には夏が始まり、それから約半年間は摂氏35度から45度位まで気温が上昇する猛暑が続きます。今はまさに季節が移り変わるタイミングで、残すところあと僅かなベストシーズンを堪能すべく、多くのイベントが開催されています。この原稿を書いている今日、テニスの錦織圭選手が無観客で開催中のドバイオープン初戦を突破したニュースがありました。

今回は、コロナ禍の新生活様式やコロナ対策について、日本と異なる点に着目しながらドバイの「今」を紹介します。

水際対策

世界の大半が鎖国または人々の往来を厳しく制限する中、UAE及びドバイの政策は他の多くの国とは一線を画しています。ドバイは世界で最も早く旅行者へ門戸を開放し、エミレーツ航空の運航を再開して、厳しいロックダウンを繰り返す欧州やアフリカ等からの観光客を誘致しています。年末年始休暇の間、クリスティアーノ・ロナウド選手や俳優等の著名人たちが、ドバイに滞在しながら仕事をしたり、余暇を過ごしたという報道がありました。私が住むエリアのホテルやショッピングモールでも観光客や合宿に来たアスリートと思われる人達を見かけたので、本当に観光客は来ており、一定の成果をあげているようです。

不動産業や観光・サービス業に大きく依存するドバイは、新型コロナウイルスによるダメージが⼤きく、UAEの⼈⼝約1000万⼈のうち推定10%近くが出国して外国⼈居住者が⼤幅に減少したと言われています。こうした事態を受け、外国人の投資・消費を活用して経済を回復させるべく、ドバイ⼊国のハードルは非常に低く設定されています。出発地でのPCR検査と陰性証明書の提出、それにドバイ到着時のPCR検査が課されるのみで、入国時の隔離措置やGPSによる追跡はありません。つい先日ドバイに入国した知人によると、ドバイ到着時のPCR検査は実施されなかったそうです。

2021年に⼊ってからは、感染⼒の高い変異種が国内で確認され、感染者数は1⽇約4000⼈に急増したため、ドバイ政府は商業施設の人数制限や飲食店の時短営業、ライブエンターテイメントの禁止といった対応を余儀なくされました。しかし観光客自体は引き続き歓迎しており、リゾートホテルやビーチ、ショッピングモールは人で賑わっています。

日常生活

年初に感染者数が急増した際、前述の制限に加えて子供が通う学校の授業が一時的にオンラインに切り替わりました。今でもオンライン授業のみの学校や対面授業に戻った学校、オンラインと対面授業のミックスで運用している学校があり、学校によって対応はまちまちです。

また、この時期には私の周辺でもコロナ感染症例が多くありました。子供のクラスメイトや日本人の知人、当社スタッフにも感染者が出たため、私自身も自主的にPCR検査を受けて陰性を確認する羽目に。多くの病院でPCR検査が実施されていて手続きも簡単なので、PCR検査は非常に身近です。私はドライブスルー形式のPCR検査を受検しました。UAEでは鼻腔に綿棒を突っ込むスワブ検査が一般的です。唾液による検査はありません。検査費用は150ディルハム(約4500円)と安価で、結果は24時間以内にEmailとSMSで受け取ります。万が一コロナ陽性と診断された場合、緊急性の高い重篤患者以外は、14日間の自宅隔離が求められます。その間子供は学校に行く事ができません。ルームシェアの場合は自宅隔離ではなく、政府の隔離センターに収容されます。年初から感染件数が高止まりして推移しているため病床不足が懸念されます。

  • 【ドライブスルーPCR検査の様子】終始車内にいるため他人との接触は一切ない

今でこそほぼ通常の生活を取り戻したドバイですが、昨年には4週間弱のロックダウン(24時間外出制限)が敷かれました。いつまでこの状態が続くのか分からず精神的に辛い毎日でしたが、部屋でできるエクササイズ、バルコニーでの食事、ビデオ通話などを取り入れて、家族で励まし合いながら過ごしました。幸いドバイはデリバリーサービスが比類なく普及しています。日本でも認知が広まったウーバーの他にも、ゾマト、デリバルー、タラバートといった外食宅配アプリを通じて外食メニューを注文できます。このほか、生鮮食品や薬、AmazonやNoonといったECも充実していて、ロックダウン中はこのデリバリーサービスに相当に助けられました。今では宅配アプリ限定のメニューや割印キャンペーン等も充実して、生活になくてはならない存在です。

  • 【デリバリーバイク】待機中の配達バイクたち、会社ごとにカラーが異なる
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一方、実店舗の具体的な対策としては、対人距離の確保やマスク着用といった基本的な対策のほか、ホテルでは厳格な消毒対策の強化や、罹患が疑われるゲストの非接触での選別設備、ショッピングモールでは歩行者の往来を監視するサーマルスキャナーやカメラ等の高度なテクノロジーの使用などが挙げられます。マスクの着用と対人距離の確保、人数制限が厳格に実施されている一方、レストランやホテル、ジム、エステサロン、ショッピングセンター等は通常営業中で、ドバイの日常は普段とほぼ変わらないと言えます。

  • 【ショッピングモール】密を避けるため入店人数が制限されている
  • 【ショッピングモール】密を避けるため入店人数が制限されている
  • 【ショッピングモール】係員が消毒した買い物カートを受け取る
  • 【ショッピングモール】行政命令より3メートル離れて配置されている 衝立が設置された食堂も多い

ワクチン

UAEは、必要とされている集団免疫を獲得するため2021年末までに人口のおよそ70%にワクチンを接種することを目標にしています。実際にUAEは世界に先駆けてワクチン接種を迅速に進めており、人口比ではイスラエルに次いで世界第二位、全体接種回数は人口の過半数を超えたと報道されました。観光客の誘致やイベント開催、ほぼ元通りの日常生活、これらが実現できるのは、ワクチン政策に裏付けされた自信の表れなのだろうと感じます。

かく言う私も1回目のワクチン接種を終えました。UAEでは外国人含む住民全員に無料でワクチンが提供されます。今までは医療従事者や政府関係者、自国民、高齢者が優先されており、ドバイ保健局のウェブサイトからワクチン予約を何度試みても「あなたは対象外です」と表示されて先に進めずにいましたが、3月に入るとワクチンが大量に到着したと見えて、接種対象枠が一気に広がり、私も予約が取れるようになりました。UAEはこれまでにシノファーム(中国医薬集団)、ファイザー製ワクチン、アストラゼネカ製ワクチン、ロシアのスプートニクVワクチンを認可していて、自分で打ちたいワクチンを選んで予約します。最も気になったのは副反応ですが、色々な情報を自分なりにレビューしたうえで、私はシノファームワクチンを選びました。

接種当日は、決められた時間にワクチンセンターに行き、質問票に健康状態などを記入して係員に提出し、センターの中へ入ります。広いホールに全部で10箇所ほどカウンターがあり、それぞれに看護師がいて、空いているカウンターへ誘導されます。簡単な質疑応答と血圧測定の後、その場でワクチンカードが作成されて注射を打たれます。緊張と不安のせいかワクチンのせいか、頭が少しふらつきましたが、時間の経過とともに治まり、注射された腕が腫れることもなく、無事に初回の接種が終わりました。集団免疫獲得の目標に向けて非常に効率的・迅速にワクチン政策に取り組んでいると自らの体験から実感しました。

  • 【ワクチン証明書】3週間後に2回目接種予定

これからのドバイ

ドバイの一部の政府施設ではワクチンを接種した一般人のみが入場できる措置が始まり、今後はこの類の規制が増えると予想できます。ワクチンパスポートに関する議論も活発になってきました。このようにワクチンが非常に重要な要因である事は間違いありません。 日本では7月に国際的スポーツ大会の開催が控えており、賛否両論あるなかで海外からの観客受け入れを断念したニュースが注目されました。ドバイでは今年10月に国の威信を賭けた国際的文化イベント開催が控えています。観光客を呼び込む開放政策と、感染抑制の両立を図るという難しいかじ取りが求められますが、迅速な決断力と強制力をもって上手くバランスを取りながら成功へと導くのではないでしょうか。ドバイはコロナ禍を契機によりいっそうのDX化が進み、集団免疫を獲得した後の世界のニューノーマルを体現しているように思えます。

2021年3月
ドバイ支店 原田